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フェルメール展 2

前回の続きです…


そして、今回のメイン・フェルメールの作品たち。

まずは、
○「マルタとマリアの家のキリスト」
今回の彼の作品の出展では、最大のものかな?大きいだけに、迫力があって印象に残っている。
初期の作品のようで、我々のよく知るフェルメールの作品達とは趣がかなり異なっているようです。
人物の描写は、おおらかで丸みがあり、細部の書き込みは少ない。衣服のシワや、手の造作が、大きいように思う。しかし静かな室内の雰囲気、女性の表情や柔らかな光の表現は、後年の見慣れた彼の作品と同じような味わい。

○「デイアナとニンフたち」
私は始めてみる作品でした。これは、先ほどの作品以上に手触りが違う感じ。
女性が5人も描かれ、赤や黄、橙の衣服の色彩が華やか。手前の犬が可愛らしい(犬好きなので目がどうしても行ってしまう…)
神話をモチーフにした作品は、彼のものではやはり珍しいようですね。彼の室内を描いた作品に馴れているので、野外(恐らく)の情景を描いた本作は、他の作品と比べて特に印象が異なるように感じました。
見た時はそうでもなかったのですが、ショップの絵葉書が綺麗だったので、この絵の絵葉書を買って帰りました(笑)黄色っぽい画面。

○「小路」
僅か二点現存するフェルメールの風景画の中の、一点。こちら、日本初公開だそうで…大人気でした;なかなか近付けませんでしたが、粘って前まで行ってしまいました。。。
思ったよりもこじんまり、抱えられそうな小さな作品。

建物の、赤茶色の細かなレンガの積み重ねが美しい。 写真のような、精緻な描写。
女性が座る、建物の出入り口の中が真っ黒なのが妙に目に付く。この黒さが、画面を引き締めているようにも感じる。ここが深い闇色であるために、外の明るさ…というのが際立っているように、見る人に感じさせると思う。日光の下…という雰囲気が出ている。
建物の手前にも人物が2人いたのね。中に人物が居る事も、本で見たときはあまり意識しませんでしたが、こうしてみると人物の存在感が意外と強く感じる。人物が、背後の闇から妙に白く浮き出ているように見えるから、人物に意識が向くのかも。
現物は、絵の具の凹凸の加減と、光の加減で、絵に艶があってより一層、生き生きとした印象を受けました。

風景画は、「デルフトの眺望」も見たいんですよねえ。あれも凄く素敵ですよね。空が綺麗。



これらが一列に並んで壁に展示され、次の部屋へ…

途中の壁に、“「絵画芸術」は作品保護のため、出展中止となりました”というような言葉を見て、残念でした。つい最近、TVの特集で、この作品が取り上げられていたので、興味があったんです。
しかし「絵画芸術」ってタイトル、何か凄いですね…


次の部屋。
まず、右手の突き当たりの壁に、

○「ワイングラスを持つ娘」
こちら、わりと大きさがあります。有名な作品のためか、ここが一番混んでいたかも!一通り見て、また引き返した時にやっと目の前まで行けました。
全体的に、背景なんかは緑っぽい色の感じ。意外。証明の加減もあるのでしょうが…

まず目に飛び込む、鮮やかな赤のドレス。これが強いため、やはり印象に残る。
私、こちらの娘さんの表情が苦手。歪んだ微笑…とも言いましょうか。“ニヤッ”という感じ。
ワインに酔ってしまった娘が、横の男性が下心見え見えに介抱しようとするのを困っている様子、らしいのですが…ちょっと違和感というか、異様な印象 ^^; 男が嫌だから、顔が引きつってしまったのかしら?見ていても心中穏やかでないですよ。
彼女の顔、個人的には、少し松○聖○さんに似ているなあと思います(すみません)

赤のドレスが素敵。

娘さんの顔を覗き込むような男性、「近すぎ!」!今、打ちながら調べたら、手まで重ねているじゃないですか!
しかし、その後ろの机の、頬杖を付く男性は物凄く静か。そんな事に気付きもしないように、静かに物思いに耽っている…その温度差が面白いなあと。それにこの頬杖の人、やけに影になって暗いですが、彼も何かを象徴しているのかしら。中央のメインと思われる2人と、趣がまるで異なる。
窓のステンドグラスに、縄を持った人物(“節制”を象徴するようで)がいるというので、必死に確かめたのですが、その時はよくわかりませんでした;;
広々した部屋も、細部まで繊細で美しく描かれている。絵が大きいだけに、迫力と見ごたえがありました。


○「リュートを調弦する女」
画面、暗いな…。
第一印象は、それ。黒っぽいすすけたような画面には、女性の額にあたった光の白さと、黄色のガウンが目を引く。
それにしても、かなり落ち着いた絵です。調べたら、長く保存状態が悪い中にあったそうなので、そのせいもあるのかも。
全体的に、薄暗さというのが気になる絵なので、それだけに、窓から差し込んでいる女性の顔を白く照らした“光”の表現は、一際素晴らしいものに感じました。光に輪郭が溶け込んでいるような表現。光の存在感が強いように思う。
柔らかい日の光は、女性の顔の凹凸に沿って、その表情を浮かび上がらせる。白く、明るい“光”と、その暗い“影”。そうした対比が、よく感じられる作品と思います。
ほわほわとした髪や線の、柔らかい印象の絵です。

○「手紙を書く婦人と召使い」
今回、私が一番心を引かれたのが、この絵かもしれません。ワインブラス~よりは小ぶりですが、これも大きめの作品。
手紙を書く女性と、その後ろに控える召使い。画面からは、静けさが感じられる。
輪郭や書き込みが洗練され、気品のある美しさが漂います。
召使いの表情や、婦人の顔が美しい。特に、婦人の表情や肌の白さが綺麗。
締め切った部屋の静けさと、窓からさす光は温かさを感じさせるように思う。

○「ヴァージナルの前に座る若い女」
今回の目玉の一つ、かしら。
最近、フェルメールの作品である、と新たに鑑定された絵のようです。
こちらが今回、最も小さい絵画でしたね…20センチ四方程度?

この絵も、第一印象は「暗い…」。やっぱり照明の加減もあるのでしょうが、薄暗い印象。
小さくて見ずらいし、画面も暗いし。そんなんで「どうなんだろうなあ…」と思っていましたが、何度も行ったり来たりして眺めているうちに、女の子が可愛く思えて来ました。…思えてきた、、っつーか元々可愛い顔しているんですけどね!個人的に、あんまり好きでないかも、、と思っていたのが、好きになってきました。結い上げた巻き髪に赤いリボンが可愛いし、丸い目、ふっくらとした丸い顔立ちや頬の赤みも、親しみがわくような…
黄色いショールや白のスカートも、丸みがあって何となく可愛らしい印象。このショールが不自然で後世に手直しされた…というような事が書いてあったと思いますけどね;
見ているうちに、女の子の魅力をどんどん発見していって、最終的にはお気に入りになってしまいました。

譜面を立てている左上の方から光が差し込んでいるので、そこに窓でもあるんでしょうかね。
小さくてコンパクト、何だかとっても親しみがわくような作品でした。


最後まで一通り見て、最後まで来たらまたキリストの絵に戻って見返してきました。
初めに見るのと、一通り見た後だと、印象も違ったように思います。

他の同時代の同地域の画家の作品を見ても、やはりフェルメールの作品は抜きん出ていますね。
細かい室内の調度品の書き込みや、光の表現もそうですけど、人物の表情!
私は、彼の作品に登場する人たちの表情がとても好きです。美しいし、穏やかな微笑をたたえた者が多く、そしてまた、丸くて円満な印象…見ていて自分の気持ちもほんわりしてきます。みんな、良い顔してますね。
落ち着いた、静かな室内の描写、というのもまた良くて、静寂が伝わってくるものや、音楽が聞こえてきそうなもの、、、絵一つ一つから、息遣いが聞こえて来そう。
特別な何かの場面や行事というのを描いているわけでは無いのだと思いますが、それだからこそ、親しい隣人…自分の側にもありそう(ここは日本だし、時代も文化も違うけれど)といった印象を見る者に与え、独特の心地よさを感じさせるのかな、なんて思います。


やっぱり照明の事があるので、“絵の本来の色”というのはわからん面もあるのでしょうが…そんな事を言うと時間による退色だとかもあるでしょうし…それでも、彼の作品の実物を間近で見て、作品本来の色合いや印象を知る事が出来たのはよかったです。
模写の課題でフェルメールを扱ったとき、本の印刷によって、同じ作品でも絵の色が全く違う事がよくありました。なので、「本当はどうなんだろう?」という部分を今回、この目で確かめられて良かった。

写真で見たときは印象が薄くても、実物は遙かに良くて返って好きになった、とか。
「リュートを調弦する女」や、「ヴァージナル…」は良い例。

それに、作品の持つ迫力。
これはやっぱり、現物を見ないとわからないですね。
絵の具の乗り具合、筆の運び…は、今回ちょっとよくはわかりませんでしたが、それでも印刷の平面、点の集まりの色彩とは違って、絵が生き生きとしているように感じました。

彼の作品を生で見よう、なんて言っても、全国各地に散らばっていて、そうそう見られるもんじゃあないですよね。今回の物だけでも、オランダ・ドイツ・アメリカ・スコットランド…うわあ;

今回はほんと、いいものを見せてもらいました。



そして、余談で私がフェルメールに興味を持つきっかけを書いてみます↓


そもそも、私がフェルメールに特に興味を持つようになったのは、中学の頃。
美術の試験課題で模写があり、その時に扱ったのが『牛乳を注ぐ女』でした。
その理由はまず、この絵の雰囲気が何となく好きであったのは勿論なのですが、もう一つ大せつな点がありました。 それは、そう。模写のし易さ。
例えば、私はモネの睡蓮の連作も大好きですけども、これを模写するのは至難の業です。いかにも印象派の、輪郭のハッキリしない色を多数重ねる塗り方は、そうそう真似できません。
また、タッチという点で言うと、ゴッホ辺りも曲者。ひまわりだとか、浮世絵がいいタンギー爺さんだとかもいいんだけども、彼の絵の魅力は独特の力強いタッチであって、その筆運びはまた、模写するのは不可能。構図の凝った宗教画とかも好きだけど、細かすぎて無理。

そう色々と考えたところ、出た答えが “フェルメール” だったのでした。
人物が一人で画面がシンプルだし、ごちゃごちゃし過ぎていないし、描き込みが細かすぎない。それに、筆のタッチや輪郭に特徴がそれ程なさそう。
有名で、雰囲気も良くて、複雑すぎない。三拍子揃っていたわけです。

そしてこの絵には、高校の時もお世話になりましたね。
私は美術選択だったおですが、模写の授業がありました。やはり上記の理由や愛着のため、再びこの作品を扱いました。この時は同時に、期末試験の代わりとして、画家の生涯を調べて作品の描かれた背景をまとめる、という課題も出たので、親しみが一層沸きましたね。

その『牛乳を~』の絵は、去年日本に来たようですが、行けませんでした;
いつかは、彼の生きたデルフトの街を、実際に訪ねて行きたいもんです。


最近、色々本を見ていいな、と思うのが、「窓辺で手紙を読む女」。
光の入り方や、赤のカーテン、女性の俯いた表情が素敵…うーん、見に行きたい!
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プロフィール

雲隠

Author:雲隠
本、音楽、漫画、アニメ、ゲーム、歴史が好きな社会人。

L'Arcから始まりまして、ヴィジュアルな音楽に興味があります。

黒くて綺麗なのが好きです。

hyde贔屓ですが、yukihiroも気になる…

最近はemmureeが熱い。

よろしくお願いします。


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