FC2ブログ

おまえの口に口付けしたよ

呪いの様に聞こえたのは、この言葉。
呪いの様に繰り返されたのもまた…

今日は図書館で岩波文庫の『サロメ』を。

ビアズリーの黒く、デフォルメされた人物の挿絵がオドロオドロしく、なんとも居心地の悪い不気味な雰囲気を醸しておりますが、その割りに私は彼の絵に、案外惹かれるのであります。
細やかな線や曲線が美しく、黒と白がよく映える絵柄ですね。
この本では、戯曲の妖しさと彼の悪魔的な絵の取り合わせが絶妙です。

高校の頃、岩波の何かの文庫に挟まっていたしおりに、彼の絵を見たのがこの作品に興味を持った最初でしたかね。怖い絵だ…と思っていただけでしたが、しおりをよく見ると、
「あれっ!?この人、生首持ってないか!?」
と、相当インパクトがありました。一体何事があったのかと。なんとなく聞いた事のあるタイトルだし。…今思うと、物語のクライマックスを表した「最高潮」と題された絵のようですが…
原作を読もうと探したときにはどこにも見当たらず、そのまんまになっていましたが、今更見つけたので手にとってみました。

こういう戯曲形態の作品をまともに読むのは、教科書で読んだ『夕鶴』以来かな?
慣れるまで人物を把握しづらくて、何度か人物紹介に戻りつつ、読み進めました。


サロメの気持ちは、純粋でまっすぐなものだったのだろう。
初めて恋してしまったヨカナーンは、彼女の出自を非難するばかりで、全く取り合う事をしない。それでもサロメは、ヨカナーンが欲しくてたまらない。そこから生まれた、狂気。
故に、最後に思いも寄らぬ悲劇を起こす事となってしまったのだ。

「おまえの口に 口付けするよ。」
何度も繰り返されたこの言葉は、呪いのように幾度も響いた。
まるで不吉な予言のように聞こえる。

そして最後に、首だけとなった彼に、ようやく唇を寄せる事ができたサロメ。
ようやく思いを果たす事のできた彼女がまた、繰り替えした。

「おまえの口に 口付けしたよ。」


うーん…
なんとも不気味だ…

とても短いお話なので、急展開な気がしなくもないですが、物語は終始緊迫感を持って進められ、引きつけられっぱなしでした。

どうしても手に入れたい、その切なる純粋な思いが、恐ろしいものと形を変えて、生まれてしまった悲劇。
これでは…やられた方が凄ーく気の毒じゃないか(涙) 恋って、怖いんですねーー><
それでも最後には、物言わぬ姿となったヨカナーンに、「何故おまえは目を開けない…私を写さない」というような台詞がありましたが、それが悲しかったです。
サロメだって、本当はこんな姿ではなく、きちんと彼女を見、面とむかって立ってくれる姿のままのヨカナーンと、結ばれたかった筈なのですよね。自分がそうしてしまったとは言え、切ない場面です。

訳の見事さも、この作品の良さの一つなのでしょう。
文が美しく、旧仮名遣いなのが雰囲気があるし、言葉の繰り返しが印象的です。


元ネタは聖書という事で、しかもほんの数行、らしいですが、そっちもちょっとあたってみたいと思います。
サロメは古くから絵画の題材によく用いられていたようですが、柔らかい女性の像よりも、首を持つ女性としてはやっぱりビアズリーの毒のある画風が、似合う気がするかも。


それにしても、ヨカナーンが哀れ!!

サロメ (岩波文庫)サロメ (岩波文庫)
(2000/05)
ワイルド

商品詳細を見る

Comment

(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://kumogakure9463.blog79.fc2.com/tb.php/397-9d785168
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

雲隠

Author:雲隠
本、音楽、漫画、アニメ、ゲーム、歴史が好きな社会人。

L'Arcから始まりまして、ヴィジュアルな音楽に興味があります。

黒くて綺麗なのが好きです。

hyde贔屓ですが、yukihiroも気になる…

最近はemmureeが熱い。

よろしくお願いします。


◆ブクログ◆


ひとこと









カレンダー(月別)

12 ≪│2020/01│≫ 02
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

最近の記事/コメント

月別アーカイブ

リンク

ブロとも一覧

ブロとも申請フォーム

最近のトラックバック

ブログ内検索

ただ今…

現在の閲覧者数:

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSフィード

くにとり

カテゴリー

Copyright © 雲隠